1963年
監督 佐藤肇
南廣、花沢徳衛以下お馴染みの警視庁物語メンバーが挑む十代の青年達が起こした殺人事件の顛末や如何に。
と書くといかにも知ってる風情ですが、実はこの「警視庁物語シリーズ」全然知らなくて(もしかしたらすっかり忘れてるのかもだが)全く新鮮な気持ちで観ましたよ。
このシリーズは劇場公開用ではなくテレビ映画なんだそうです。と言う事は今で言う2時間スペシャルドラマとかの部類なんですね。
でもね、丁寧に作られてて本当に見応え有りますから、機会があったら是非観てほしいです。今では使われなくなった丁寧な日本語や所作にも出会えるし、なによりも第二次世界大戦の敗戦後16年しか経っていない日本人の生活を見る事が出来ます。
健康的に体育を楽しむ女学生達を見ながら「この子達は全員が戦後生まれなんですな。体格が良くなりましたね」と嬉しそうに花沢徳衛さんが言うセリフは、そのままご本人の気持ちを表している様ですよ。
一見平和に思える日々に突然起こった無残な女高生殺人事件の犯人は、母親から東大に入れと過重な期待をかけられても逆らえず、その鬱屈した思いを「不純異性交遊」と言う今では死語と成り果てた遊戯で解消しようとする高校4年生。つまり留年生でした。
浪人中も高校生として在籍しないとならないプレッシャーって、今考えると恐ろしいよね。進学塾や予備校なら立場は同じだけど、年下と同じ授業を受けながら受験勉強をするんだよね?精神的に辛いよな。
殺されたのは犯人が付き合っていた女の子の妹。彼女は姉から「妊娠した」と言うのを聞いて抗議に行き、親や教師にバレることを恐れた彼に殺されてしまった。
でも、それは避妊をしないセックスの為に妊娠を恐れた彼女の想像に過ぎなかった。
それを知った姉は自分のせいで妹が殺されたのだと思い、農薬を飲んで自殺する。
戦後の混乱期女の子2人を抱え必死で生きてきた母の悲しみは幾許か?
本当に救いがないのよーーー!だけど、こう言う話はあちこちにいっぱい有ったと思う。ジェンダーの問題でも有り、人間性の問題でも有り、経済や文化の問題でも有り。
辛い話では有るけど、この時代の雰囲気を知る良い機会ではあります。と言うのも、この頃の「十代」が、今の80代辺りの人々だからです。団塊の世代は単なる爺さん婆さんじゃないって事よ。介護の現場にいるU30は絶対観とくといいよ。
今は渋い小林稔侍まだ大学生。エスケート(サボってスケートする事)楽しんでました。
街中にはセックスが大氾濫。ポルノ映画のポスターも堂々と貼られてて、ガキンチョが群れてます。わしもうっすら記憶がありますわー。
新宿の路上。横断歩道の真ん中に都電の枕木モロ出し線路が有ったなんて!ハイヒールの人大丈夫だったんだろか🤭ここ本当にビックリだね。
当時のイケメン。眼鏡の原田君役は多分内藤勝次郎。ふっくらしたのが犯人宮崎役の小川守。
私的には「忍者部隊月光」で馴染みが有ります。
昔も今も、親の言う事大人しく聞く子は問題抱えてますな。反発するばかりが能じゃ無いけど、自立の為には必要な事だよね。
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